KYT(危険予知トレーニング)とは
KYTは「危険(Kiken)」「予知(Yochi)」「訓練(Training)」の頭文字を取った言葉で、労働災害を未然に防ぐための訓練手法です。製造業で広く導入されている安全教育のひとつで、作業前に現場のリスクを洗い出し、安全行動を確認することで、事故の防止につなげることを目的としています。
KYTの主な実施ポイントとして “危険の可視化”、“グループディスカッション”、“指差し呼称” の3つがあげられます。
〈KYTの実施ポイント〉
| 危険の可視化 | 過去の事故やヒヤリハットをもとに、現場の状況を具体的にイメージしリスクを特定 |
|---|---|
| グループディスカッション | 作業者同士で意見を出し合い、危険の特定と安全意識の向上を図る |
| 指差し呼称 | 危険要因や重点項目を指差しながら唱和し、意識の定着を促す |

KYTで労働災害ゼロを目指そう!
作業者の危険感受性を高め、自発的な安全行動を習慣化することがKYTの狙いです。
安全教育の重要性
製造業では、依然として労働災害の発生件数が多く、安全対策の強化が求められています。
国内では、労働災害に被災して休業4日以上となった方が、毎年10万人を超えるといわれています。その多くは適切な危険予知が行われていないことが原因です。
KYTによる安全教育は、こうした災害を未然に防ぐための有効な手法として活用されています。KYTを定期的に実施することで、次のような効果が期待できます。
〈KYTの効果〉
| 危険感受性の向上 | 作業者が普段見落としがちなリスクに気づきやすくなり、安全意識が高まります |
|---|---|
| チームワークの強化 | グループで意見を出し合うことで、現場全体の安全意識が統一されます |
| 事故防止の習慣化 | 危険を予測し、安全行動をとる意識が定着します |
KYTのポイント – 4ラウンド法
KYTには、標準的な手法として「KYT4ラウンド法」があります。これは、職場の危険を段階的に分析し、安全行動を具体化する方法です。実施の際は、次の4つのステップを踏みます。
〈4ラウンド法〉
第1ラウンド
現状把握(どんな危険があるか?)
職場のイラストシートや実際の現場を確認し、潜在的な危険を発見します。
「どこに、どのような危険が潜んでいるのか?」をチームで話し合い、事故につながる要因を洗い出します。
第2ラウンド
本質追究(危険のポイントを特定)
発見した危険の中から、特に重要なポイントを絞り込みます。
まず○印をつけ、チームの合意のもと◎印をつけて「最も重大な危険」を特定。その後、指差し唱和を行い、チーム全員で意識を共有します。
第3ラウンド
対策(あなたならどうする?)
危険を防ぐための具体的な対策を出し合います。
「どのような行動をとれば安全を確保できるのか?」を考え、実行可能な安全対策をチームで策定します。
第4ラウンド
目標設定(私たちはこうする)
話し合った対策の中から、重点的に実施する項目を決定します。
チーム行動目標としてまとめ、指差し唱和で共有。こうすることで、作業時の安全行動を確実に実践できるようになります。
KYTの課題 – 事故がなくならない理由とは
しかし、このようにKYTを実施しても、事故が完全になくなるわけではありません。
その背景には、いくつかの課題があります。
〈KYTの課題〉
座学中心では実作業に活かせない
座学やグループディスカッションが中心では、実際の作業と結びつきにくくなります。そのため、「頭では理解していても、作業に集中すると安全意識が薄れる」という問題が発生します。
また写真やイラストを使ったKYTでは、現場との乖離が生まれやすく、効果的な安全対策につながらない場合もあります。
訓練時の意識と実作業での行動に差がある
KYTの場では危険を認識できても、現場に戻ると日常業務に追われ、安全意識が希薄になりがちです。例えば、「フォークリフトの周囲に注意する」と学んでも、作業に集中すると無意識に近づいてしまうことがあります。
訓練時には理解していても、実際の作業では安全意識が薄れ、認識と行動にギャップが生じてしまいます。
形骸化とマンネリ化が進む
長年KYTを実施している現場では、「決まった手順をこなすだけ」になりやすい傾向があります。
そうすると、形式的なKYTにとどまり、形骸化が進むだけでなく、同じテーマの繰り返しによるマンネリ化によって、新鮮味を失い、安全意識の低下を招くこともあります。
作業者が「自分ごと」として学ぶために
KYTは本来、「安全を確保するのは自分自身」という意識を持つことが重要です。しかし、訓練がルーチン化し、指差し唱和だけで終わってしまうと、実際の行動につながりにくくなります。
これらの課題を克服するには、作業者が「自分ごと」として学べる環境が必要です。そのためのポイントは、次の2つです。
実際の危険を疑似体験
知識だけでは安全行動にはつながりません。
実際の危険を疑似体験し、安全意識を高めることが重要です。
日常業務に組み込む
KYTを特別な訓練ではなく、日常業務の一部にする工夫が必要です。
日常業務を通じて、実践的な安全行動が身につき、事故防止につながります。

KYTは「学ぶ場」で終わらせるのではなく、疑似体験できる安全教育へと発展させることが重要。
その手法のひとつとして、バーチャルリアリティー(VR)を活用したKYTが注目されています。
仮想空間で危険な状況を再現することで、座学だけでは難しかった疑似体験が可能となり、より深い安全意識の定着につながります。
VRによる安全教育・KYTについて
VR安全教育は、VRゴーグルを装着し、仮想空間に再現された作業現場を本人視点で体験しながら学習できるデジタル研修手法です。作業者が実際に「体験」しながら学べるため、座学による安全教育と比べ、より実践的な安全意識の向上につながります。

〈VRによる安全教育・KYTのメリット〉
- 本人視点による危険の疑似体験
- 360°ビューで危険要因を発見できる
- 没入感のある環境で安全意識が高まる
能動的な体験は、学習定着率が高いことでも知られており、現場に潜む危険を自ら発見し理解することで、従来のKYTよりも、判断力や安全意識の向上につなげることができます。また従来の座学では伝えにくかった「その場にいる感覚」を体験できるため、危険に対する意識がより強くなります。

KYTは労災防止の基本ですが、形骸化を防ぐには実践的な体験を取り入れることが重要です!
VRを活用することで、作業者が危険を「自分ごと」として捉え、行動を変えるきっかけになります。
実践的な訓練手法をお探しでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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