技術伝承が難しくなっている…
工場の現場では、経験やカン・コツとよばれる「暗黙知」によって、多くの生産ラインが支えられています。しかし、これまで自然と技術伝承・技能継承されてきた暗黙知も、少子高齢化や離職率の増加によって、受け継ぐことが難しくなってきています。
熟練作業者の技術は、会社の財産でもあります。企業の生産性を上げて競争力を高めていくためには、このようなベテランの「暗黙知」をわかりやすく見える化し、確実に伝承していく必要があるのです。

◎形式知と暗黙知って?
技術伝承によって伝えられる知識には、「形式知」と「暗黙知」があります。
形式知は、言語化しやすい知識で、きちんとマニュアルを整理することで、確実に伝えることができます。一方、暗黙知は言語化が難しい目に見えない知識で、企業の中でもブラックボックス化しやすい知識です。
技術伝承が急がれる背景
技術伝承が急務になっている一番の要因は、少子高齢化です。少子高齢化が急速に進む日本では、これまで現場で活躍していたベテランの定年退職が増加。一方で雇用市場では、次世代を担う若年労働人口の減少に歯止めがかからず、深刻な人手不足となっているのです。
済産業省「2022年版ものづくり白書」によると、2021年度の製造業の若年就業者(34歳以下)は、263万人と少なく、ここ20年の間で31.4%→25.2%へと大幅に減少しています。
このような状況下、これまでOJTで行われてきた技術伝承がうまく機能せず、大きな課題として表面化しているのです。
- 〈技能継承がうまくいっていない理由〉
全国の製造業のうち、従業員数30人以上の企業20,000社を調査
「技能継承がうまくいっているか?」との問いに、53.8%もの企業が「あまりうまくいっていない」「うまくいっていない」と回答。うまくいっていない理由に最も多かったのは「若年ものづくり人材を十分に確保できていないから」(56.2%)で、少子高齢化による技能継承の課題が浮き彫りになっています。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構|技能継承の現状と課題に関する調査(2019年)
技術伝承がなかなか進まない理由は?
課題として認識されはじめた「技術伝承」ですが、実際にはうまくいかない企業が多いのが現状です。
技術伝承がなかなか進まない理由には、以下のような課題があげられます。
〈技術伝承が進まない理由〉
教育時間が取れない
技術伝承では、マンツーマンによる指導や時間をかけたOJTが必要です。
しかし人手不足が深刻な現場では、生産活動が優先になってしまい、教育にかける時間が確保できません。特に近年では、働き方改革によって残業も規制されることが多く、就業時間中の教育がさらに難しくなっています。
指導方法がわからない
教える側は、指導のプロではありません。ベテラン自らが、体系的な指導を受けていないことも多く、教育が現場任せになってしまった結果、技術伝承が進まないことがあります。
職人気質な「目で見て盗む」「体で覚える」指導は、大量採用の時代こそできましたが、人材難の現代では通用しません。
マニュアル化が難しい
生産ラインでは、マニュアルや作業手順書によって、作業が標準化されています。
しかしベテランの暗黙知は「動き」によるものが多いため言語化しにくく、マニュアル化できません。暗黙知は現場で叩き込まれることも多く、教えられる側(若手)にも負担となっています。
技術伝承を進めるにはマニュアルの見直しが必須
このように技術伝承は、ベテランにとって大きな負担になっています。そのため技術伝承を進めるためには、ベテランを含めた会社全体がその重要性を理解し、組織全体で活動を後押ししていく必要があります。
また職人気質のベテランを敬遠する若手も少なくありません。お互いがズムーズにコミュニケーションを取れるように、世代間のギャップを埋めていくサポートも必要です。
そしてさらに技術伝承を潤滑に進めていくには、マニュアルの見直しが必須です。しかし先にあげた通り、ベテラン技術のマニュアル化は難しく、以下のような問題があります。
〈従来のマニュアルの問題〉
- ベテランのカンやコツが盛り込めない
- 写真や文字だけでは、説明に限界がある
わかりにくいマニュアルは、結局更新されず、古いままで活用されていないケースも多くあります。
そこでポイントになるのが、デジタルツールを活用したマニュアル制作です。
おすすめは動画マニュアル、しかし苦手なことも…?
デジタルツールのなかでも、よく活用されているのが「動画マニュアル」です。動画マニュアルは「動き」を正確に伝えることができる、視聴型のマニュアルです。
〈動画マニュアルのメリット〉
- 動きが視覚的に理解しやすい
- ひとりで繰り返し自習ができる
- 指導内容のばらつきがない
動画マニュアルは、動きを伴うベテラン作業を直感的に理解しやすく、いつでも見返して学習できるため、複雑な動きが多い製造業の技術伝承におすすめです。
PCやタブレットで自習できるため、若手にも馴染みやすく、導入しやすいこともメリットです。
- 〈動画マニュアルの学習定着率の例〉
しかし万能に見える動画マニュアルでも、実は苦手とすることがあります。それはベテランの目線やリアルな現場の「体験」です。
動画による視聴型の学習は、学習定着率が低いことが課題で、一見わかりやすい動画コンテンツでも、見るだけでわかった気になってしまうことがあり、実際の現場の理解につながらないことも多いのです。
VR研修で、動画マニュアルの課題を解決
そこでいま注目されているのが、バーチャルリアリティーを使ったVR研修です。
VR研修は、バーチャルリアリティー(仮想現実)技術を活用したデジタル研修手法です。バーチャル空間に、実際の工場や工程を再現することで、リアルな体験型の研修を行うことができます。

〈VR研修のメリット〉
- 本人視点による疑似体験
- 360°ビューによる空間認知
- 作業者自ら手順を体験しながら進められる
- 〈VR研修の学習定着率の例〉
能動的な体験は、学習定着率が高いことでも知られており、ベテランの動き・スピードや注意ポイントなどの視点を自ら体験し理解することで、動画マニュアルよりも高い学習効果が期待できます。

研修プログラムの一部にVRを取り入れることで、マニュアル化が難しい技術伝承をスムーズに進めていくことができます!
コロナ禍をきっかけに、動画マニュアルを活用する企業が増えています。それにともない、動画マニュアルから一歩進んだ、「自ら体験する」といった学習のニーズも増加しています。
VR研修は、動画マニュアルでは伝えきれない能動的な技術伝承に最適です。動画マニュアルによる技術伝承でお困りでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。
技術伝承におすすめのVRソフト
- 製造業向けVRクラウドソフト
-
大同メタルでは、自社工場で培った研修ノウハウをもとに、製造業に特化した「VRクラウドソフト」を提供しています。市販の360°カメラで撮影した熟練作業者の工程動画をアップロードするだけで、効果の高い研修コンテンツがかんたんに制作できるクラウドソフトです。
VRクラウドで、技術伝承を進めませんか?
製造業向けVRクラウドソフトのお試し体験を実施中!
動画マニュアルから一歩進んだ研修手法にご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください


